どの情報を使うか
社内には複数の業務・サービスがあり、関係のない情報を混ぜて回答すると品質が下がります。対象ごとに参照範囲を明確にする必要がありました。
外資系大手製薬会社で、社内AI活用の定着支援と並行して、問い合わせ対応、チケット起票支援、公開情報からの定型資料作成など複数の業務をAI化。利用者への教育から個別業務のヒアリング、設計、実装、展開まで横断して支援しました。
※ 守秘義務に配慮し、企業名、社内サービス名、内部データ構成、画面・設定値、具体的な運用ルールは非公開・抽象化しています。
社内にAIを作れる環境が導入されても、「何を作ればよいか」「どこまで任せてよいか」「どう運用すればよいか」が分からなければ活用は広がりません。
この案件では、社員自身がAIを活用できるようにするための勉強会、ハンズオン、相談会、運用ルールの整備を進める一方で、実際の業務ユースケースも並行して設計・実装しました。
重要だったのは、AIの機能説明だけで終わらせないことです。現場から出てくる「問い合わせを減らしたい」「必要な情報を集めるのが大変」「公開資料を毎回読み直して資料を作っている」といった声を、AIが担当できる具体的な仕事へ変換することが必要でした。
「AIで問い合わせ対応したい」「資料作成を楽にしたい」という要望だけでは、実際に使える仕組みは作れません。
社内には複数の業務・サービスがあり、関係のない情報を混ぜて回答すると品質が下がります。対象ごとに参照範囲を明確にする必要がありました。
回答できない問い合わせを放置せず、必要な情報を聞き取り、人が対応しやすい形へつなぐ必要がありました。
業務や問い合わせ項目は変わります。専門の開発者が毎回改修しなくても、運用担当者が更新しやすい構成が求められました。
社内ユーザーの問い合わせを一か所で受け、マニュアルで解決できる場合はその場で回答し、解決しない場合は次の対応へつなげる仕組みを設計しました。
AIが文章から勝手に推測するのではなく、利用者に対象業務を明示してもらうことで、参照する情報を最初から限定しました。
選ばれた業務に関係する社内文書だけを見て回答し、別業務の情報が混ざることを防ぎました。
質問が曖昧な場合は、必要な情報を追加で確認してから再度回答。何度も無意味な質問を繰り返さないよう上限も設けました。
チケット作成に必要な項目だけを対話で聞き取り、担当窓口へそのまま渡せる形に整理。最終送信は利用者が確認して行う設計にしました。
外部に公開される医薬品関連の会議資料を確認し、必要な内容を整理して社内の定型資料に反映する業務も対象にしました。
従来は、担当者が公開ページの更新を確認し、長い議事録を読み、対象ごとの内容を整理し、決まった形式のプレゼンテーションへ転記し、保存と関係者への連絡まで行っていました。
そこで、開始の指示 → 最新資料の取得 → 必要な単位への整理 → 定型資料への反映 → 社内保存 → 完了通知までを一連の流れとして設計しました。文章の意味を読み取る部分だけAIに任せ、ファイル取得や保存、資料への配置など手順が決まっている処理は機械的に動かすことで、安定性を高めています。
毎回同じ公開ページを確認し、対象資料を見つける作業を一連の処理にまとめました。
長い会議記録をそのまま扱わず、業務で使う単位に分けて内容を整理する設計にしました。
整理した内容を定型資料へ反映し、所定の場所への保存と完了連絡までを一つの流れにしました。
個別のAIを作るだけでなく、社内で活用を広げるための学習・相談・運用面も支援しました。
AIでできること・できないこと、業務へ当てはめる際の考え方を、非開発者にも分かる形で共有しました。
説明を聞くだけでなく、実際に触りながら「自分の仕事ならどう使えるか」を考えられる場を作りました。
個別ユースケースの相談に対応しながら、作成・共有・運用するときに守るべき考え方も整理しました。
すべてをAIに判断させるのではなく、意味理解が必要な部分だけAIを使い、条件が明確な処理は固定ルールで動かしました。
問い合わせ対象の選択、参照範囲、解決・未解決の分岐、最終起票などは人や固定ルールで制御。AIは問い合わせの理解、回答文の作成、追加質問など、意味を理解する価値があるところに絞りました。
個別業務の設計・実装だけでなく、社員がAIを使えるようになるための支援まで含めて担当しました。
業務ヒアリング、現状整理、要件具体化、対話の流れの設計、実装、利用方法の整理、展開まで担当しました。
勉強会、ハンズオン、相談会、運用ルールの整理を通じて、IT部門を中心に社員自身がAI活用を考えられる環境づくりを支援しました。
社内にツールを配るだけでも、個別のAIを一つ作るだけでも、活用は広がりにくいと考えています。
社員が「自分の仕事にも使えそう」と理解できる学習機会と、実際の業務で価値が出る具体例が両方必要です。また、AIが参照してよい情報や、人が確認すべき場面を最初から設計することで、安心して広げやすくなります。
この案件では、社内の活用支援と実案件の設計・実装を同時に進めることで、抽象的なAI活用を実際の仕事へ落とし込む支援を行いました。
AIの用途が異なっても、業務の流れと運用条件から設計する考え方は共通しています。